furmich
Neu!やLa Dusseldorfのオリジナルメンバーとして有名だと思う故Thomas Dinger(2009年没)のソロアルバム2枚の内の1枚のようです。今回兄のKlaus Dinger氏も2008年に亡くなっていたと知り、昔から寡作ながら一方でライブなどもそれなりにこなしていたと思うNeu!もLa Dusseldorfを始め、各々ソロ活動も精力的だった両者の音楽は聴けないのかと思うと、なにかとても寂しく惜しい気がしたのも、このような素晴らしくドイツクラウトロックのお手本のようなアルバムを聴けた所為も大いにあるかもしれません。とはいえその分野にあまり明るくない筆者ながら、やはりこのアルバム収録の各曲を聴くとこれぞクラウトロックと思い、逆にクラウトロックと言えばこの手をまず思い浮かべてしまうほど想定内の音楽です。

縦ノリのいわゆるハンマービートが打ち鳴らされていく中、それをガイドビートのようにしながらも、その空間で自由なセッション的バンド演奏が延々と繰り広げられていく曲M3"Fur Dich"に最もクラウトロックらしさを感じるのですが、しかしその一方で卑近で申し訳ないながら例えばクラスター&イーノの曲のようなピアノや空間的なシンセ類による浮遊感あふれる静寂な曲や、ほぼシンセのみの小曲などなど、そのどれもが言ってしまえばジャーマンロックならではというか、やはりこれは生粋のドイツ人達にしか出せない音と美学なのではないか?とさえ思えてきます。例えば少し前起こっていたと思うクラウトロックのリバイバルの日英米のバンドや、いかにも影響を受けている雰囲気のポストロックのバンド達が時々真似をしようと奏でていたクラウトロックもどきのサウンドなどは、この生粋のクラウトロックの前では何の意味も無くなってしまうほどの元祖クラウトロックだと思います。音楽自体にも言えることなのかもしれませんが、憧れて始めるのはモティベーションとしては大いに意義があるのですが、その後はこういったクラウトロックなどなど特に真似るべきものではないな、とさえ思ってしまいます。

脱線しましたが、これは純粋に美しくまた楽しい優れた音楽ではないでしょうか。蛇足ですが日本のCaptain Trip盤「我が為に」には1-A Dusseldorfのデモバージョンのような2曲がボーナストラックとして収録です。

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