DeathCult
このバンド名義のシングル2枚+α(BBC Radioでのセッションの4曲)収録のコンピのようです。こんな所をご覧の皆さんには言わずもがななんですが、ポジティヴパンク(これもご存じ英国のプレス等メディアが1980年代初頭に出て来た似たようなインディ系バンドサウンドを表現するため便宜上作った言葉、もちろんポジパンと略すのは日本独自(笑)創始者の一組The Southern Death Cult解散後、オリジナルメンバーのボーカルの人(イアンアシュトベリー)だけが、その他バンド(Theater Of HateやSex Gang Childrenなどの模様)のメンバーと作った後身バンドのようで、さらに後にDeathも取れてThe Cultになっていくという、言わば端境期のリリーフ投手のような存在の名義だったのだろうと思います。

たしかにサウンド面でも後のThe Cultのアルバムに再録音&再収録された曲をこの時点で演っていて、The Cultの同名曲と聴き比べてもいないので偏見半分で言うと、しかし当然こっちのバージョンの方がラフなのだろうと思いますが、再録されたThe Cultのアルバム「Dreamtime」のアマゾンレビューの人のようにこっちの方が好きという人もいるのでしょう、言ってしまえばThe Southern Death Cultのズンドコとした土着民族的(tribal)で太古の儀式のような(ritual)特にタムタム多用などの特徴がまだ残っていると思います(資料映像#1The Southern Death Cult"Moya")。

しかし、その他曲は既にThe Cultになってからの言わばポップでオールドスクールハードロックオリエンテッドな展開を予見させるような曲であり(資料映像#2The Cult"Love Removal Machine")、やはりこれは正に両バンドThe Southern Death Cult→The Cultという端境期の資料的音源なのだろうと思わされます。まあThe Southern Death Cult vs The Cultどちらも、各々の良さがあると思いますが、何と言えばいいか(笑)英国ポジパン界などという狭い世界のみならず、世の中にこれほど似て非なる物、サウンドがあるだろうか?とさえ思ってるんですが、このコンピはもしかしたら、そんなとてつもない程の矛盾、ジレンマ、アンビバレンツを繋いでしまう極めて稀有な存在のミッシングピース的コンピなのかもしれません。駄文失礼。

ちなみに全く同内容の異名「Ghost Dance」というコンピ(デスミッキー?のジャケ、そっちの方が比較的入手容易)や同名ながらBBCセッション音源無しの6曲のみのCDもあり。

DISCOGS