gaucho
あまりに有名だと思うスティーリーダンの何枚目かです。おそらくどんな中古屋や当然新盤レコ屋さんには常時駐在しているようないわゆる名盤なのだろうと思います。また最高傑作と評価も高い「Aja」の次作ということでよく比べられていると思います。「Aja」は現在手元に無く聴いたのもかなり前なのでうろ覚えなのでユーチューブで「Aja」を聴き返さねばレビューにならんだろうと今聴いてますが、やはりうろ覚えの時点と同じ感想で、個人的にはそれほど共通点のようなものを感じませんでした。極簡単で申し訳ないですが「Aja」が当時なりにフュージョンテイストが満載でじつにノリの良いダンサブルなアルバムなのに対して、本作「Gaucho」はこう言って適切かと分かりませんが、ずっと落ち着いており比べてしまうと少し覚めているような印象を受けます。しかし歌詞の世界はドナルドフェイゲンの世界観なのでしょうか、これも言い切る自信はありませんが現代社会で文化的で都会的な生活を享受することによる享楽的刹那的な感情の肯定またはアイロニーなもののような気はします。しかし本作「Gaucho」に限って言えば、ニューヨーカーらしい二人がどうやらLAなどでの生活でどうも馴染めない雰囲気や時に憧れのようなものが歌詞にもまた音にも出ている気もします。

なにかまだるっこしいので言ってしまえば、私的には結局米国的な文化的根無し草の寂しさのようなものを感じてしまうアルバムでした。それはたぶん団塊の世代のコカコーラとハンバーガーに対する郷愁にも似た思い入れにも近いかもしれない、時にかっこよく憧れるのですが同時に、中国ほどではないですがそれでも三千年の歴史はあるであろう日本に生まれて良かったと思ってしまうのです。主食がパンじゃなくてコメで良かったと。伝わりますでしょうか。当方の趣旨を分かりやすく言うと(笑)クールな事のかっこ悪さとでも言いますか、五百年ほどの歴史しかない米国のやはり根無し草的な生活に対する切れ者の二人の賢者によるアイロニーに富んだ批評を聴いているような気にもなるアルバムです。誤解がないように、今回ヘビロテで二十回は聴けたほど音楽的にはやはり名盤であろうと書かねばなりません。

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