threeofswans
それなりの人は知ってるんでしょうが、もし偶然の出会いなどでなければこういったユニット(というか後述しますが別プロジェクト)に辿り着くのは、やはりそれなりのロック遍歴を経ている人でしょうか。いや私はそんな遍歴を経ているわけではない前者のほうで、本体ソヴィエトフランスの別ユニットだと偶然知って運良く中古屋で遭遇したので持ってるのですが、そうでもなければ一生知らずにいるタイプのユニットだったかもしれません。そんな音自体よりも一種立ち位置が特殊かもしれないので、音は二言三言で言ってしまうと、書いたようにソヴィエトフランスのアンビエント〜アンビエントハウスプロジェクトなのですが、そこはやはり曲者二名による、アンビエントにしてもありがちで綺麗綺麗な清流のごとき音ではなく、もしかしたら毒素や汚染物質が流れ込んでいる濁流のごときアンビエントかもしれません。ただそもそもソヴィエトフランス自体アンビエントではないのか?と言われるような強者に合わせて表現すると、本体よりもずっと解かりやすい音楽なので、言わばポピュラーなソヴィエトフランスというかソヴィエトフランスのポップス的展開とさえ言えるかもしれません。いや上手く表現できず従って伝達出来てないと思うのでより正確を期すと、当時1990年代のUKの一つの音楽的潮流だったかもしれない、The KLFやThe Orb辺りを始祖とするいわゆるアンビエントハウスのテイストが大いにあり、その二者(というか実質の始祖はThe KLF一本なのかもしれません、後のれん分け的にThe Orbが分かれていったわけで)を意識したのか?というくらい影響がありありに感じられる、時にビート&ベースも入るやはりアンビエントハウスの曲がアルバムの半分以上をしめています。

音で思わず?長めになってしまいましたがむしろ書きたかったのは、やはりその立ち位置や存在自体かもしれず、文脈や歴史的にはUKロック史の系譜には一応入るのでしょうが、しかしある意味そんな系譜などクソくらえなほど、個人的にはロックを感じない音楽じゃなかろうかと思ってます。また長くなりそうなので要は、最初に書いたようなこの1990年代中盤時点で最早半世紀の歴史はあったであろうロック史(UKに限らず)のある意味際物(キワモノ)であり、ゆえに順序よく王道ロック史的な道を歩んできたリスナーが辿り着くのは、場合によっては一生辿り着けないほどの端っこにいたユニットのような気がしたので、書いてみたところもあります。いや、ここのところ勝手に「ロック」とは一体何だったのか?と総括的な妄想を膨らませているもので(笑)。伝達重視で分かりやすく言うと、便宜上言う今のダンスミュージック(EDMでイイなら、それ)系の中には、ロックとは一見無関係な気がするサウンドもありますが、もちろんロックもジャズ無くしては生まれなかったように、それとてそういったジャズ→ロック→EDM系という文脈で語らなければならず、つまり全くの無関係とは人類の創作物な以上言えないのですが、しかし、言わばロックを知らない世代にはそんな文脈は関係無いわけで、そういった新しい世代による新しい音楽にはそんな「ロック」はもはや関係の無いまさにロックの殿堂の中で埃をかぶって飾られてる錆びた銅像や今にも崩れそうな石灰岩の化石のような物とになりつつある現実もあるのだろう、というような事を言いたかったのでしょう。何が本題だかわからないエントリーとなりましたが、本作に戻ると、こういった上記のような作品が20年も前に発表されていた事実に、私は驚愕せざるをえません。以上の意味で本作はロック史上で重要な作品です。

DISCOGS



(KLFのサンプル使い(笑)