collectedworks
ジャーマントランスですか、懐かしい感じですが、大手中の大手?Eye Qの看板アーチストの一人と言ってよいらしいAC Boutsenこと本名はMatthias Hoffmannという人らしい、その人のメイン名義に当たると思うシグナスXのベスト的コンピのようです。DISCOGSなど見ると最初はもう一人の看板アーチストRalf Hildenbeutel(スヴェンヴァースの片腕?)とのユニットだったようなんですが、AC Boutsenの方の比重が大きいというか本来はこの人が始めて後ラルフ(略)が賛同して始まったユニットだったのかもしれません(完全に推測)。この名義でのアルバムは一枚きりで、このコンピのCD1枚目が曲順は変わり一部抜き差しはされてますが、実質的にそれに当たる物と思います。ここでラルフの役割を見ても(聴いても)顕著なのは4曲目"Deliberation"でのブレイクビーツ風を挟みアシッドなベースラインを絡めてジャーマントランス的なグルーヴ感を出していくような所と"Kinderlied Part I + II"での同様の所、意外ではあまり彼の存在感を詳しくないですが感じられません。やはりほとんどはAC Boutsenのプロダクション&ダイレクションによるものと思われます。

1曲目はこのコンピにリリースのためにあつらえたような上記1stにも未収曲なのですが、代表曲"Positron"にお姉さんの歌などを被せてしまっている当時2003年なりの歌物トランスにされてしまっています。なので本番(本盤)は2曲目のこれまた代表曲"Superstrings"からであります。その原曲はもはや20年以上も前ということで、特に音色などで古めかしいオールドスクールトランスだと思います。ただ展開=アレンジはジャーマントランスの職人の一人ということで、これもテンプレートのような物だとは思いますが、基本的に今でもそれほど変わらないやはりトランステンプレートのような曲に思えます。ここでDisc2の方ですが、2003年なりの大物トランスのアーチスト達による上記代表曲等リミクシーズ盤です。ただそれももう10年以上前の曲ばかりなのでさすがに厳しいような部分もありますが、各々のアーチストのファンにはもはや古典のような作品という事でシグナスXのファンでなくても持ってる人がいそうな気がするような2枚目でした。

個人的にはやはり本盤の1枚目がAC Boutsenによるある意味ピュアで本領発揮のアーチスト性がもろに分かるという意味で大変貴重だと思ってます。メランコリックで時々クラシック調の旋律のキーボード(シンセ)はもしかしたらここでもラルフ氏の手による物もあるのかもしれませんが、もしそれを抜いたとしても十分にメランコリックで、いわゆる泣きの展開などはAC Boutsen自身による物なのでしょう、ほんとにこの人はジャーマントランスの何たるかを解かってるような、言ってしまうとスヴェンヴァースともしかしたら双璧をなすほどの職人だったような気さえしてくる1枚目です。それはこんなグダグダとしたレビューを読むよりも、コンピ2枚を通しても山場であろう最大のヒット曲"The Orange Theme"を聴けば、おそらくほとんどの人に伝わるほど強力な説得力になるかもしれません。クラップ(手拍子)のスイング感とリバーヴの掛け方…それだけでも筆者など白米だけの丼一杯くらいはいけそうです。(↓YTの方でどうぞ)

DISCOGS