してみたい
中川勝彦のデビューアルバムとのこと、なるほど…年代的な背景やジャケ写などからの先入観も大きいかもしれませんが、発表は1984年、また実際日本の80's(大雑把でもうしわけない)と言わざるを得ない音であり、またアマゾン情報にもありますが作詞作曲編曲から参加ミュージシャンとして言うなればプロデューサー的なほどの全面参加がムーンライダーズの白井良明とかしぶち哲郎、作家陣には原田真二、NOBODY、銀色夏生等と、こちらも言ってしまえば日本の80'sを代表するような人々が参加で、各人が持ち寄ったテイストからの印象も大きいのでしょうが、各々が中川勝彦という言わば素材を活かそうか殺そうかどうしようかと思ったのかは知る由もありませんが、彼を使って日本の80's的に(もちろん当時はそんな認識はないながらも)トレンディーなサウンドを作り上げていった作品が本作になる、と言えるかもしれません。中川勝彦のボーカルはまだかなり所謂「アイドル」としての自分を本人かまたはそれらプロデューサー陣か、それ以上にディレクターなどのレコ会社から派遣のスタッフの意向かもしれない、言うなればまだ気持ち悪いような歌い方なんですが、その点はデビュー作としてしょうがない事として目をつぶります。そうするとバックのサウンドにはかなり聴くべき所があり、テクノポップ、ニューロマンティック辺りのすかしたようなサウンドは、当時既にニューミュージック系統ややはりアイドル歌謡曲でさえ主流になっていたと思うサウンドなので、また30年も経ってしまった今、厳しい部分はありつつも、音の博物館的な資料としてそれ以上に当時という時代を聴いているだけで感じられるという貴重な時間にもなるサウンドのような気がします。そうこれは重要作にして、もしこの世界に無かったとしたらそれはとてもさみしいような気分になるであろう、傑作にすらなるかもしれません。聴かないのはもったいないかもしれません。