FlowersOfRomance
PILの代表作だと思われるこのアルバム、たしかにこのドンドコとした少し土着的で、たしか当時の言葉であったBig Beatのドラムスと言うよりも太鼓の音には今でも興奮させられる瞬間はあります。しかしそれもこのPILを始め当時のUKのNWやダブシーンでは誰も彼もと言うほど使われた手法のような気がし、また彼らに憧れた後輩たちによりその後散々真似された音だとも思い、実際このアルバム発表から30年以上も経った今、当時ほどのインパクトはそういった意味で受けようもないのでしょう。それは音楽に限らず芸術分野にも限らず人類の文化が持つ、単純表現で流行り廃りとか人間どんな事(音)でも結局慣れていってしまうなどの宿命ゆえにしょうがないことなのでしょうが、それを踏まえた上で、やはり先駆者は偉大であり、彼らのような存在がいなかったとしたら道が開かれなかったとまでは言わないまでも、その後のシーンはまた違っていたものになっていたかもしれないと思うと、大げさに言って幾百の凡人たち以上に価値があったバンドメン数人だった気がしてくるというものです。単純に言うとこのアルバムがあったのと無かったのでは世界は大きく変わっていたんでしょう。実際それほどでもない凡庸なアルバムという物も世の中には多く存在していると思いますので。やっぱり偉大なアルバムでしょうね。

DISCOGS