秩父音頭

「父ちゃん、おかえり」「ああ、今日は疲れたな」「あんた、風呂も沸くけど、飯でもいいよ」「いや、今日は風が強くてな、汚れちまったから先に風呂だな」「そうかい。たけし、薪くべろ」「わかったー」「じゃあ沸くまで汚くなりついでに、トラクターの汚れも落としてくるかな」「ああそうしな」

風呂
「ああ〜イイ風呂だ!たけしうまいぞ」「そうかい!」「どれ、薪はもういいから、おまえも一緒に入れ」「うん、わかった」「なあ父ちゃん、母ちゃんに言うなって言われたんだけど、おれ、グローブと球が欲しいんだけどな…」「お、友達みんな持ってるのか?」「ああ、だからキャッチボール一緒にしたいんだよ」「そうか、わかった、あした一緒に買いにいくか?」「ほんと!?ラッキー!ありがと父ちゃん!」「おお、お安い御用だ」

寝室
「おい、たけしに言うななんて言うなよ」「なんで」「なんであれ、家族で隠し事めいたことは無しだ」「だけどあんた、グローブと球、買う金あんの?」「ねえけど、仕事仲間に借りる」「借金はよくないよ、弱みになるじゃない」「おまえはそういうこと嫌いだもんなあ、そんな弱みとか考えんな」「そうかい、あんたがそう言うならそうしな」「ああ」

次の日
「どれ、たけし、さっそく父ちゃんとキャッチだキャッチ」「え、ほんと!やり〜だけど、父ちゃんのグローブは?」「ん?ねえけど、素手だ素手、おまえのへなちょこボールなんて素手で充分だ」「いったなービシっといくぞ!」「おおこいや!」

この後秩父音頭祭りに家族で行ったりする。(一種の個人的理想です)



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