chic mystique
今回はシックということでナイルロジャース繋がりのボウイの継ぎに取り上げたいところだったが、しかし前エントリーのPSBもディスコテイストと言うことでは適切だったかもしれない。そのような原曲は正にシックイズム溢れる名曲だ。ロジャースのカッティングギター、エドワーズのドライヴするベース、歌姫二人のセクシーかつシンコペーションなども駆使するファンキーなコーラス、そして何より本物ストリングス隊使用などが象徴する全体的に華やかかつ軽やかな雰囲気、三拍子どころか四拍子も五拍子も揃ったこれぞシックという名曲である。

ではそれらを素材にしてブラザーズは一体どこまでその名曲に肉迫できるのか?聴き所であろう。

まずは自分達なりのバレアリックなビートとベースにて序盤が始まるが、直ぐに原曲である歌姫のコーラスなども活かしつつ、さらに原曲トラックである本物ストリング隊が持つ華やかな雰囲気を活用している様は、シックイズムまでも利用してそれらを全く違和感無く自分達のテイストへと取り入れてしまうという、穿った見方をするとアーチスト的オリジナリティの欠如ではあるかも知れないが、しかしそこにはプロ根性やしたたかさを感ぜざるを得ない。その後は彼らの一面であるトランス〜テクノ的な上物なども加味しつつ、原曲の♀ラップをブリッジとして当時流行りのビッグビート風へとビートを転換するという構成的にも凝った内容だ。

恐らく少なからず影響を受けているシックイズムへのリスペクトと共に、言わばその後継者という自負まで感ぜられる、野心的な仕事であろう。

DISCOGS

Chic Mystique (Brothers In Rhythm 12" Mix)

Chic Mystique