kremlin
すっかり枯葉舞い落ちる季節となりました。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

僕はといえば、三連休とはいえ特に何もすることもなく無為に過ごす日々でした。連休ともなれば毎度のことなのですが、昼夜逆転し夜中の12時くらいに昼飯を食べたり、寒いし汗もあまりかかないだろうと風呂も入らなかったりします。特にここはモスクワという極寒の地、それも、部屋の中央で沸騰しカチカチと鳴っているサモワールしか暖房器具がないという厳しい状況です。床は少なくとも築50年は経っているので歩けばギーというどころか、所々隙間も開いており、そこから来る隙間風も酷いものです。

そんな部屋なので中ですら、フェイクですがファーが襟元から裾まで付いている女物のコートなど着て、やはり古くてスプリングがギシギシという安物のベッドに、寝ると表面積が大きくなって熱を放射してしまうので、身をかがめるように座っています。ご存じのように緯度が高いので夜明けも遅く当地時間で11時くらいになってやっと日が昇ってきます。それも冬のロシア、日差しの弱いことといったら、仮に日本が白熱球だとすると蛍光灯のような弱々しさです。窓は隙間風がなるべく入らないようにする為か、極力小さくしてあり、そこから差し込む日差しは真昼ですら常に夕方のような雰囲気です。

それでもいいんです、僕の隣にはシベリアの地にも似た白い肌を持つカーチャが、寒さのためいつも身を寄せていてくれるのですから。二人で飲むサモワールでできたウオツカ入りロシアンティー(チャーイ)の暖かいこと。特に昼間、チャーイを飲む彼女が座っているベッド脇の小さい窓から、彼女越しに見えるクレムリン、これに勝るロシアの景色は僕には存在しません。