オオシマさんが上げられていたエントリーの関係で思い出したように聴き返してみた日本が世界に誇るラッパー「だった」彼のアルバム。このCDのオリジナルバージョンは1989年に発表され、限定5000枚だったこともあり、もちろん今なってはそのオリジナルCDはレア化してるんですが、当時入手したくても、し難かった事を覚えています(その後入手、しかし現在は甥の元にあります返してー)。

その再発盤、意味不明のジャケ画はいただけませんが、厚い方のCDジュエルケース入りで、ラップというジャンルという事もあり、膨大な量のリリックが書かれたブックレットも厚め。そのブックレットを開いてみると今となっては流石に古い単語もありますが、それでも早二十年が経過しようとしているのに、未だに通用するような辛辣な歌詞(リリック)が多く存在することにも驚愕です。

アルバムを通してのテーマは、どうやら東京を「SPOOKY TOWN」と呼び、情報過多&流出&浪費する巨大消費都市として描いている所です。バブル崩壊直前の雰囲気もあるのでしょうし、バブル中の鬼気迫るようなヤケクソのような乱痴気騒ぎに対して、その中で彼もそれを享受してたであろうに一歩引いたような冷めた視線で批判をしているのも、アルバムを通して感じられます。もちろん本場物のラップとは到底別物の東洋人ラッパーながら、しかし「MAC THE SEIKOは誰も追いつけないNO.1ラッパー!と思う」という日本人的に謙虚な姿勢が日本人である筆者には好印象でした。

小説家としての彼は一切知りませんが(代表作「ノーライフキング」すら未読)これは明らかに日本人ラッパーによる金字塔作でしょう。言い忘れるところでしたが、肝心のバックを支えているトラックメイカーは天才ヤン富田氏です。つまり半分は彼のおかげ。

(特に日本人だからJASRACが怖い、という訳ではありませんが、これから偏執的に試聴を上げることは止めました)