『ベニスに死す』キター!いやほんとに!ヴィスコンティの代表作でしょうね。傑作すぎてなにをどう書いて良いのやら…躊躇するんですが。とりあえずお話は、ぶっちゃけ変態おやじの話です。とあるドイツで有名な作曲家の先生グスタフ(マーラーがモデル)が、もはや余命幾ばくもない感じで、保養地ベニスへと。そこで、見かけちゃった飛んでもない美少年タジオにもう当然、一目合ったその日から恋の花咲くことある!(これなんだっけ新婚さんいらっしゃい?)そういった感じで、ゾッコンラブで、本当にもうどうしようもない感じで惹かれていく。素敵ですよ。

それにしてもタジオ役のビョルン・アンドルセンさんは恐るべき美しさですね。神々しいですよ。あんな少年がいたら誰でも惚れるって。あの美しさは性別を超越してますし。しかしあの人いまはどうしてるんでしょうか。きっとただのオッサンになってるんでしょうねーそう思うと悲しいですね。知ってる人いたら教えて。

そして愛。とはこうも愛してしまった方を無力に、そして愛されてる方に輝かんばかりの自信を持たせるものなのでしょうか。しかもこの場合、愛する方は、著名な芸術家とは言え、もう余命幾ばくもない病気持ちのじいさん、そして愛される方は元々輝かんばかりの美貌と弾ける若さを兼ね備えた美少年ですよ。これはきついね>グスタフ。相手は自分の持っていない、いやかつて持っていたかもしれないが、今はもうとっくに失ったもの、全てを持っている。そのとき芸術家は怒りと嫉妬とそしてどうしようもない憧れと愛を抱くものなのでしょうか。

BjornAndresenそれら全てを彼タジオは知っているかのようにグスタフの前で誘うように振る舞い、そして目が合うたびに、思わせぶりに微笑む。これもタマランでしょうグスタフは。ゆえにたまらず早々に地元ベルリンに帰ろうとするんですが、荷物の行き違いで、またしばらく滞在することに。そのときのグスタフもイイですよ。最初は荷物任せた人たちに怒り狂うのですが、すぐ後にニンマリしたりする。これでまた彼に会える!口実もできた!と。そういった瞬間に私は萌えたりしますけど。

というか後半はもうグスタフは単なるストーカーおやじですよ。タジオが行く所どこへでも柱の影に隠れながらとかして付いて行く。そしてタジオはもちろんそれも分かっている、足の弱いグスタフが付いて来れるように、時々待っていたりする。こういうのも個人的にタマランね。

後は、ドイツの思想家にして運動家にして文学者のトーマスマン原作らしいんですが、恥ずかしながらそれは読んでなく、しかし、彼の芸術に対する、ある意味嫌悪と同時に、いや故にコンプレックスな姿勢が映画からでも見て取れて面白いかも。彼(恐らく登場人物アルフレッドが彼の代弁者)曰く「芸術にとっては英知も心理も人間的尊厳などというものはクソの役にも立たず、悪こそがその糧となる。それ以外のものを糧とした芸術は凡庸だ」そう。

もうネタバレとかの次元ではない映画だと思うので、最後は、もちろんグスタフの死。それも海岸で光輝く逆光の中で海へと向かい、そこで明日の方向を指差すタジオを見ながら、という言わば生と死の好対照の対比にて幕。

もちろん曲はこれ。これが流れるオープニングがまたイイ。正直オープニングを見ずしては語れない映画なのかも。是非。

♪Mahler: Symphony No. 5 Rondo - Finale / Zubin Mehta; Los Angeles Philharmonic