KEMPIRE

How deep is your Love?

January 2009

How Can You Expect To Be Taken Seriously? / Pet Shop Boys

howcanyou
昨日に続くPSBとBIRによるラウンジテイスト路線の頂点とも言えるコラボラーションが、この曲であろう。

原曲もPSBとはこの頃の名タッグである巨匠ハロルドフォルターメイヤー(映画「ビバリーヒルズコップ」等のサントラも手掛けており、"Axel F"が有名だろうか)がプロデューサーであり、時代は感じるがダンスポップミュージックとしては非常によく出来ている名曲だ。

そしてブラザーズはその名曲を素材とした故か優れた仕事で答えている。

まず1バージョンは雰囲気的にはその原曲の雰囲気を損なわず、さらに大人向けのダンスミュージックへと昇華しており、特に軽やかで華やかなピアノが印象的だ。ビートはやはり当時なりのグラウンドビートであるが、この手はビートとして確立しているので普遍的な魅力を持っている。

2バージョン目はより一層のラウンジテイストである。ここではもはや原曲の面影はその甘いメロディー以外ほぼ残っておらず、完全にブラザーズ側と思われる上記ピアノと泣きのサックスや、上には原曲トラックだろうか映画音楽の如きオーケストラレーションとシンセパッドによるドラマチックなストリングスの対決が一層、原曲とリミックスバージョン双方が持つロマンチックな情感を盛り上げている。

PSBとBIR、共に代表的作品の一つであろう。

DISCOGS


How Can You Expect To Be Taken Seriously? (7" Perfect Attitude Mix)

How Can You Expect To Be Taken Seriously?

We All Feel Better In The Dark / Pet Shop Boys

weall
ペットショップボーイズとブラザーズインリズムの最初期のリミックスコラボレーションはこの曲であろう。

原曲自体は作およびプロデュースなど完全にPSB側によるものであり、特にニールテナントによるタイトル通り囁くようなほぼコーラスのみのボーカルが印象的なのだが、オリジナルアルバムには未収録ナンバーである為、意外と隠れた名曲ではないだろうか、と個人的には思っている。

さてここでのブラザーズだが、全くハウス方面ではない仕事で答えている。

雰囲気的には原曲に忠実でありながら、しかしこれも彼らの一面であるダウンテンポなバレアリックビートを基本とし、ブルージーなエレクトリックギターや女性のあえぎ声などがアクセントになっている。言うなれば、イビサ島のサンセット近りにラウンジ方面で流れるチルアウトチューンであろう。

DISCOGS

We All Feel Better in the Dark


We All Feel Better in the Dark (Brothers in Rhythm After Hours Climax Mix)

Was It Worth It? / Pet Shop Boys

wasit
ブラザーズインリズムとメジャーアーチストとのコラボレーションということでは、ペットショップボーイズとの一連の作品を外す訳にはいかないだろう。

PSBの事、この曲もUKナショナルチャートでヒットを記録した曲であり、その曲調はいかにもPSB節のバブルガムダンスポップチューンである。それでは一体ブラザーズはどのような効果をこの曲へ与えているのか?と思われる向きもあるかもしれない。実は筆者もそれほど定かではないが、このマキシシングル収録の12"バージョンでは、いくつかブラザーズの存在を垣間見ることが出来る。

1.チャカコポとした鳴りモノが多くかつ、もたつくようなバレアリックテイストのビート
2.少し野暮ったいベースライン
3.ピアノの音色とフレーズ
4.アシッドな音色のシンセ上物数種
5.チープなシンセストリングスのアレンジ
6.全体的に妙にファンキーなディスコテイストの雰囲気

これくらいだろうか。

DISCOGS
(YouTubeにマキシ収録の2バージョン共にあったので試聴は割愛させていただく)
Was It Worth It?


Was It Worth It? 12"


Newborn Friend / Seal

newborn
マイケルジャクソンに続き、黒人メールボーカリストということでは、このシールもブラザーズと関わっている。

プロデュースはもちろんトレヴァーホーンだが、多数のチャートヒット曲も飛ばして来た彼ゆえに、恐らく数日で仕上げてしまったであろう単純な打ち込みのビートとベース上に添え物程度のアコースティックギターやシンセ等上物が乗っているだけ、というバックトラックに感じられる。しかし彼の事、意外とトラック数は多いのだろうが、そのように非常にシンプルに感じさせてしまう技は流石だろうか。シールのボーカルが申し分ないのは言うまでも無かろう。

その素材を元にしたブラザーズは昨日マイケルの時とは違い、中々気合の入った仕事で答えている。

まずマイケルでの仕事とは違い、こちらは完全に彼ら流バレアリックハウスミュージック仕立である。そのバレアリックを象徴するような竹の音風シンセパーカッションがアクセントになっており、やはりこれも彼らならではの「味」である若干野暮ったくもたついたビート&ベース、トランス的にキラキラとしたシンセの上物、そして後半徐々にコード的に上昇しドラマチックなピアノトラックによる序曲の後、シールとシンセストリングスのみのブレイク部に入り正にBreakする。このドラマチックな展開は恐らく彼らにしか醸し出せない職人芸であろう。

DISCOGS

Newborn Friend (Brothers In Rhythm Club Mix)

Newborn Friend

Who Is It / Michael Jackson

who is it
本日はマイケルジャクソンだが、まず原曲自体、あまりにも安易な「商品」ではなかろうか。安易なプログラミングによるグラウンドビート崩れのビートとベース、はっきり言ってダサい。ただそこへ乗るマイケルのファンキーな歌の上手さだけが救いである。

そんな原曲ではさすがのブラザーズも手の施しようがないのではないか?と思われるのも無理はない。原曲よりは本来の意味でのグラウンドビートだが、もちろん今聴くと古臭く、しかも全体的に上記原曲に忠実な印象である。ちなみに彼らによるハウスリミックスも存在するのだが、筆者は残念ながら未携である。いつか見つけてこのブログで公開してみたい。

DISCOGS

Who Is It (The Most Patient Mix)

Who is it -Michael Jackson Dangerous

Jump They Say / David Bowie

jump
今週は一層のメジャーアーチストに於けるブラザーズインリズムの仕事を一緒に見ていきたい。もちろん先週のBRMやBTも充分メジャーアーチストだとは思うが、より一層ステイタスが確立されている人々である。

まずは御大デビッドボウイであるが、原曲は80年代からの売れ線狙いの名タッグチームであるナイルロジャースがプロデュースを行っている。時代がら、目立っているスネアが象徴するように、跳ねるようなビートのいわゆるNew Jack Swingが入っており、このご時世に聴くとさすがに時代を感じる原曲である。

そのような原曲を元にブラザーズは、これもさすがに古臭く思われるかもしれないが、少しリチュアルな雰囲気を持つ重たいビートとベースや、同様の効果を狙っているのかチープな音色ながら旋律が中近東風音階を奏でるシンセストリングスの上物などと共に、ボウイの例によってナルシスティックなボーカルが唄ったり、そこかしこに散在させられている。

蛇足だが筆者は1993年当時、同収録のレフトフィールドによるこれも正にバレアリック黄金期仕事の方に情熱を傾けたものだが、当時から15年以上経った今となってはレフトフィールドとブラザーズインリズム、どちらも同程度に愛おしく感ぜられる。

DISCOGS

Jump They Say (Brothers In Rhythm Mix)

David Bowie - Jump They Say


JumpThey Say(Leftfield mix)

Love Has Come Again / Human Movement Featuring Sophie Moleta

lovehas
昨日、BTに於けるブラザーズインリズムの仕事は彼ら流トランスの極みだと述べたが、双璧をなすのがこの仕事であろう。

原曲自体、フェリーコーステンによる有名なTrance Nationシリーズに収録されるほど、この手が好きな方は知らない人がいないと思われるトランスクラシックであるので簡単に一言で言ってしまうが、ベースラインや上物のシンセが典型的トランスであり特に、それらは単純ながらも昇降を繰り返すので嵌ってしまうという、文字通りトランスの名曲である。

その原曲を元にブラザーズは、やはり昨日のBT"Godspeed"の際述べた展開に似た印象ではあるが、ただ四つ打ちのキックと低周波発信音的シンセベースが"Godspeed"よりも相当早く初っ端から登場するので、彼らの躍らせる、という意気込みをより感じる展開となっている。

しかしそれらリズム隊を抜いたシンセパッドとボーカリストSophie Moletaの細切れのみのブレイク部が1分半後にやって来る所は、いかにもトランス的約束事のようではある。

その後はより疾走感を増すように絶妙なトラックの抜き差しが繰り返され、キラキラとしたピアノトラックなども加わり、再度ボーカルとピアノだけのブレイク部などを挟み、終盤へと向けてドラマチックにフェイドアウトしていく(それは実際に音が小さくなると言う意味ではなく、次のトラックへ繋げるというミキサーのクロスフェーダー的な意味でのフェイドアウトであるが)。以上のような展開の妙で、クラブ音楽としては申し分ない仕上がりだ。

DISCOGS

Love Has Come Again (Brothers In Rhythm Remix)

Godspeed / BT

godspeed
ブラザーズインリズムによるトランスサイドの仕事の極みは、この曲ではないだろうか。

昨日も彼らが気を使っていたと思われるBT本人の曲にして、タイトル通り疾走感のある彼にとっても代表曲の一つと思われれ、本人によるリミックスも原曲とほとんど変わらない長さを変えただけのエクステンデッドミックスであるが、クラブプレイを意識してか、展開がより分かりやすくいわゆる上げ下げのメリハリが付いている印象だ。その素材を元にブラザーズは長尺の9分半とし、展開もBT本人リミックス以上に分かりやすいものとなっている。

まずシンセやシンセベースなどの音色がほとんどプリセット音のような単純さを感じるが、その展開の妙がそれらを払拭し、聴いている内に全く気にならないどころか、ベストの音色のような気がしてくるから不思議である。

ドラのような音とスネアの連打にて始まり、そこへバスドラム(キック)やハイハットや原曲コーラスの細切れなどが加わり、約束事のようにシンセによるトランシーな上物や原曲のアコースティックギタートラックなどが徐々に加わっていくが、おもむろにそのアコースティックギターとコーラスのトラックだけになる所など、やはりじつに分かりやすい展開ではないだろうか。加えてブラザーズ側独自の疾走するベースラインがより一層ゴッドスピードへと近づける。

両者の言わばリミックスコラボレーションは唯この曲だけだが、その後なぜ実現しなかったのか?理解に苦しむと共に残念でならない。

DISCOGS

Godspeed (Brothers In Rhythm Mix)

Imitation Of Life / Billie Ray Martin

imitation
引き続きビリーレイマーティン(以下BRM)だが、昨日の曲に続くヒット狙いのアッパーなチューンが"Imitation Of Life"だ。その原曲はBRMと天下のDef Mix Production所属でキーボーディスト上がりのハウスミュージックプロデューサーEric Kupperによる、ビート等はやはりのハウスチューンであるが、プロデュースがトランスのBTである為、そこかしこでトランス的にキラキラとした上物や、ピアニストでもある彼ゆえの華やかなピアノが特に印象的ではある。

それらを元にブラザーズはBTの方に軍配を上げたのか、原曲以上にトランス方向へ重きを置いた仕事で答えている。というよりも、BRMの曲はトランス風に、と決めているのかもしれないが、それにしてもトランスにしては若干野暮ったいドタドタともたついたようなビートとベース、そのボトムの上でBRMのナルシスティックボーカルやシンセストリングスやアシッドな発信音的上物などが舞っているが、なにより特筆なのは、BTの手による物か若しくはブラザーズ側が独自に雇い弾かせているピアノトラックであろう。実にドラマチックかつ流れるようにスムースなピアノなのでポールモーリアなどと共に高級ホテルのラウンジで流れていてもおかしくはないトラックだが、その時はもちろんビート&ベースや、場合によってはBRMボーカルトラックは抜きである。

DISCOGS

Imitation Of Life (Brothers In Rhythm Mix)

Your Loving Arms / Billie Ray Martin

yourloving
昨日は米国黒人ディーヴァだったが、片や英国白人ディーヴァに於けるブラザースインリズムの仕事ということでは彼女、ビリーレイマーティンの一連の作品が有名であろう。

この曲"Your Loving Arms"は彼女最大のヒット曲であり、ゆえにご存じの方も多いかと思うが、作はデヴィッドハーロウという古くはジャーウーブルから最近まではアンディウェザーオールとのコラボレーションなどもある人間、プロデュースがThe Gridという少し出所が怪しい原曲であるが、そんな雰囲気は全くないどころか、あまりにもUK的に華やかで派手な曲調なので、クラブどころかイギリスのお茶の間で流れていても違和感のない曲である。

その原曲を元にブラザーズは、彼らが持つ一面であるトランス面を見せている。よくチャンキーといわれる重い雰囲気ながらも疾走感があるビート&ベース上に、彼ら節である流麗かつドラマチックなピアノや発信音的シンセの上物などによる奥行きがある空間の中、マーティン嬢の白人にしてはソウルがあるナルシスティックなボーカルやその細切れが気持ち良そうに舞う、というような珠玉のクラブミュージックに仕上がっている。

DISCOGS

Your Loving Arms (Brothers In Rhythm Edited Club Mix)
livedoor プロフィール
Comments
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

記事検索(記事全文)
記事検索 by Google
Categories
Archives